三官能性シリル化試薬使用
Biphenylの特徴
ビフェニル基の二つのベンゼン環は約45度ねじれており、ビフェニル基は単独のフェニル基とは異なる分離挙動を示す。
有機溶媒を含まない水系移動相を用いても、保持の変化がなく、保持時間の再現性の高い分離が達成される。
カフェインのような極性化合物の保持が大きくなる。
他社Biphenylはほとんど一官能性シリル化試薬を用いているが、弊社Biphenylは耐酸性の高い三官能性シリル化試薬を使用している。
ダブルエンドキャッピング Double end-capping
Hexamethyldichlorotrisiloxane
Trimethylchrolosilane
高温反応 High temperature end-capping
Conversion from silanol groups
to siloxane bond
ブリードが少ない
Low bleeding
安定性が高い
High stability
水素結合性 α(Caffeine/Phenol) |
疎水性 α(Amylbenzene/Butylbenzene) |
立体選択性 α(Triphenylene/o-Terphenyl) |
|
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SunShell C18 | 0.39 | 1.60 | 1.46 |
Company A Biphenyl | 2.69 | 1.39 | 1.45 |
Company B Biphenyl | 2.52 | 1.37 | 1.46 |
Company C Biphenyl | 3.07 | 1.38 | 1.45 |
SunShell Biphenyl | 1.82 | 1.44 | 1.28 |
他社コアシェルタイプBiphenylとC18を比較しました。A、 BおよびC社のBiphenylはよく似た分離パターンを示しました。SunShell Biphenyl は5番のアミルベンゼンの保持が大きく、ブチルベンゼンとアミルベンゼンの炭素一個の差の分離係数(表中の疎水性)も大きく、他社よりも疎水性が高いことが確認されました。炭素含有量は、SunShell Biphenylが5%で、他社Biphenylは全て7%以上であり、炭素含有量の最も低いSunShellが疎水性が高いことは、高密度にエンドキャッピングされていることを示しています。なお、BiphenylはC18とは大きく分離パターが異なっております。
塩基性化合物(アミトリプチリン)のテーリングはメタノール/緩衝液移動相よりもアセトニトリル/緩衝液移動相で起こりやすいため、アセトニトリルと20 mMリン酸緩衝液およびアセトニトリルと10 mM酢酸アンモニウム水溶液の二種類の移動相に用いて、他社コアシェルBiphenylとの比較を行いました。他社Biphenylでは塩基性化合物のテーリング度合いが高く、残存シラノール基への吸着が影響していると思われる保持時間の増大も確認されました。
酸性条件の耐久性は1%リン酸水溶液とアセトニトリルのグラジエント溶離でのベースラインの変化を比較しました。Biphenyl基は酸性条件下ではシリカ表面から脱離し、有機溶媒の増加に伴い、カラム外に溶出します。ベースラインの変動は脱離したBiphenyl基を検出しており、SunShellは最も脱離が少なく、高い耐酸性を示しました。また、弱アルカリ性条件では充填剤のシリカが溶け出し、カラムイン側がへこむため、カラムの理論段数を比較しました。Biphenyl カラムは有機溶媒を含まない移動相でも保持時間の再現性が高く(6ページ参照)、高極性化合物の分離に有効なため、有機溶媒を含まないpH 8の条件で耐久性比較を行いました。SunShell は他社カラムと比較して、2倍以上の耐久性を示しました。
メチル馬尿酸のオルト、メタおよびパラ異性体の分離を比較しました。
固定相はC18、 C30、 Phenyl-hexylおよびBiphenylを用い、移動相中の有機溶媒にメタノール、アセトニトリル、2-プロパノールおよびテトラヒドロフランの4種類を用いました。
有機溶媒によりメタ-とパラ-メチル馬尿酸の分離は大きく変わり、アセトニトリル、メタノール、2-プロパノール、テトラヒドロフランの順に分離は最善されました。アルコールを移動相の有機溶媒として用いた場合に、Biphenylは特に大きな保持を示し、さらにメタとパラの溶出順序が他の固定相とは逆転しました。
これは標準試料の分離で求められた水素結合性が高いことが起因していると考えられます。アセトニトリルを使用した場合には、溶質と固定相のπ-π相互作用がアセトニトリルのCNの三重結合により弱められるため、Biphenylの特徴を十分発揮できないと考えられます。
テトラヒドロフランを用いた場合には、固定相内部にテトラヒドロフランが入り込み固定相はテトラヒドロフランと混合した状態となるため、アルコールを用いた場合とは異なった分離挙動になったと考えられます。
メチル馬尿酸の異性体の分離には、移動相にリン酸塩緩衝液を用いましたが、クレアチニンを含めたこの分離比較ではLC/MSに応用できる酢酸アンモニウム緩衝液移動相とイオンペアー試薬を添加した移動相を用いました。
有機溶媒には2-プロパノールを用いました。両移動相条件でも、Biphenylは最も保持が大きく最も良好な分離を示しました。Biphenyl の特徴的な分離として、異性体のメタ-メチル馬尿酸とパラ-メチル馬尿酸の溶出順序がC18, C8およびPhenyl-hexylと逆になることが挙げられます。
核酸塩基類の分離をC18, RP-AQUAおよびBiphenylカラムで行いました。
移動相としてメタノール/10 mM酢酸アンモニウムpH 6.8=20/80と10 mM酢酸アンモニウム水溶液の二種類を用いました。
上記核酸塩基はメタノールが20%含まれる移動相でも分離できますが、保持時間は短くなります。この20%メタノールを含む移動相の比較では、5番ピークのチミンの保持係数(k5)はBiphenyl が 最も大きく、チミンとアデニンの5、6番ピークの分離度(R5,6)もBiphenylが最も大きくなりました。
有機溶媒を含まない水系移動相を用いた場合には、Biphenylの最後に溶出するチミンの保持係数は5.00で、C18およびRP-AQUAの最後に溶出するアデニンはそれぞれ4.53と4.47となり、最後に溶出した成分についてはBiphenylが 最も大きな保持係数となりました。
BiphenylはRP-AQUAやC18tと試料の溶出順序が異なるなど、選択性が大きく異なっております。また、水系移動相を用いた場合の保持時時間の安定性は、RP-AQUAと同様にBiphenylでも高いことが確認されております。C18は送液を1時間停止した後、再度測定した保持係数は15%まで減少しており、再現性の低いことが確認されました。