Sunniest RP-AQUA の概要
Sunniest RP-AQUAは一般的な逆相クロマトグラフィー条件だけでなく、 水系移動のみでも使用できる親水性化合物の分析に有用な逆相カラムです。
一般的なC18 カラムと水系移動相のみの条件では保持の減少が起こることがありますが、 RP-AQUAでは、安定した保持時間を得ることが可能です。
水系移動相用のC18カラムや親水性基埋め込み型C18カラムは充填剤自身の親水性を高めていますが、 RP-AQUAカラムは、その疎水性を減少させることなく、SunShellC18と同様のエンドキャッピングにより、高い耐久性を有しています。
Sunniest RP-AQUAの物性値 | |
---|---|
粒子径 | 3 µm, 5 µm |
細孔径 | 12 nm |
比表面積 | 340 m2/g |
結合層 | C28 |
炭素含有量 | 16% |
USP L 番号 | L62相当 |
使用pH範囲 | 2 - 8 |
C18逆相カラムは水のみの移動相を用いると時間の経過とともに保持が減少します。 特に送液ポンプの停止後は大きく保持が減少します。右図にはC18逆相カラムでの亜硝酸ナトリウム(t0)と 2-プロパノールの分離例を示します。カラム温度40℃では1時間の送液ポンプ停止後に、保持は90%以上減少しております。 1980年以降、20年以上この保持の減少はC18アルキル基の寝込み(collapse)が原因であると言われてきており、今までに100報以上の報告がありました。 しかし長江ら1-4は毛管作用による充填剤細孔からの移動相の抜け出しが保持減少の本当の原因であることを突き止めました
1) N. Nagae, T. Enami and S. Doshi, LC/GC North America October 2002.
2)T. Enami and N. Nagae, American Laboratory October 2004.
3) T. Enami and N. Nagae, BUNSEKI KAGAKU, 53, 1309 (2004).
4) N. Nagae, BUNSEKI KAGAKU, 59, 193 (2010).
充填剤表面が移動相(水)に濡れない場合には、毛管作用により細孔から移動相は抜け出そうとする圧力が働きます。 しかし、移動相を送液し、この圧力より高いカラム圧が充填剤にかかっている場合には、充填剤表面が濡れていないにもかかわらず、 移動相は細孔内に留まっています。つまりポンプ停止前後とも充填剤は移動相に濡れていません(no-wetting)。 充填剤表面の濡れの状態は、細孔内に移動相(水)が存在していても存在していなくても変わらず、no-wetting状態であるため、 細孔内からの移動相が抜け出すことはDepermeating現象であると言えます。
Sunniest RP-AQUAの充填剤表面も逆相固定相であるため、水に濡れませんが、水との接触角を通常のC18固定相より小さくする工夫をしております。 したがいましてSunniest RP-AQUAでも毛管作用により細孔内から水を抜け出す圧力が働きますが、この圧力が大気圧より低いため、 送液ポンプを停止しても大気圧により水は細孔内に留まっており、再現性の高い分離が可能となります
緩衝液のみの移動相を用いた場合の保持の再現性を試験しました。毛管作用により、ポンプを停止し充填剤周りの圧力を大気圧にすると、通常のC18カラムは細孔内からの移動相の抜けだしが起こり、保持時間は大幅に減少しますが、Sunniest RP-AQUAはほとんど細孔内からの抜け出しは起こっておらず、97%以上の再現性を示しました。
水100%で使用可能なカラムは有機溶媒を含まない緩衝液を移動相とした時の耐久性が重要になります。 移動相中の有機溶媒の濃度が増すにつれ、カラム寿命は長くなります。 つまり、それぞれのpHで最もカラム劣化を促進させる移動相は有機溶媒を含まない緩衝液であり、 水100%移動相使用可能なカラムは最も過酷な条件で使用することが多くなるため、耐久性は一般の逆相カラムより重視すべき事項になります。
耐酸性試験としまして、0.5%トリフルオロ酢酸(TFA)約pH1.3の酸性移動相を60℃で通液した加速試験を行いました。 100時間で80%以上の保持を維持しおります。この耐久性はAQUAタイプの逆相カラムの中では最も高いものであると言えます。 さらにpH8の弱アルカリ性条件での試験は40℃で350時間の耐久性を示しました。
Sunniest RP-AQUAはpH2からpH8の範囲の水100%移動相が使用可能です。